最高裁判所第一小法廷 昭和23年(ね)1号 決定 1948年10月13日
主文
本件管轄移転の請求を却下する。
理由
本件管轄移転請求の理由として被告人等の主張するところは、要するに被告人等は何れも大阪市又はその近郊に居住する者で生活にも困難しており、尚被告人中西正寿は目下病気で歩行もできないから、前記被告事件の控訴審の管轄を大阪高等裁判所に移転せられたいというに歸する。
しかし、被告人から刑訴第一六條第二項によって管轄移転の請求をすることのできるのは、同條第一項第二號に定める裁判の公平を維持することのできない虞のあるときに限られるのである。しかるに、被告人等の主張するところは、右の場合に當らないから被告人等の本件請求は不適法たるを免れない。よって刑訴第二三條に則り主文の如く決定する。
此の決定は裁判官全員の一致した意見によるものである。
(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎)